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人工知能、人工生命、量子脳理論

こんにちは、「謎の男性社員N」です。「技術ブログ」と題しながら、初回と言うこともあるので、少し話を拡げてみたいと思います。
そもそも、私が因果なIT業界に就職した動機は、当時(30年ほど前)ブームだった人工知能(AI)の研究開発に強い関心があったからに他なりません。
そうです、AIブームは、過去にも起きているのです。当時のAIは、いわゆる”記号処理”と呼ばれる表象主義的な方法論が主流で、今のAIを支えているディープラーニング、すなわちニューラルネットワークを使った手法は、まだ極めてマイナーな存在でした。
当時のAIが生み出したものは、一階述語論理(ものすごく簡単に言えば「もしAが成立するのならBも成立する」と言う論理)をハンドリングするように構成された推論エンジンと、その述語論理が大量に格納された知識ベースから構成され、保守にやたらと手間のかかる、エキスパートシステム(専門家システム)と呼ばれる、あまり実用的とはいえない代物でした。
そもそもです、そもそも、私がAIに関心を持ったのは、「人の意識とは何か?」という純粋に科学的な好奇心がそのベースにあったのですが、当時主流だったAIの方法論は、この好奇心を満たしてくれることは金輪際無かったのでした。
かつて、プラグマティストの哲学者パースは、「人は記号である」と述べていますが、今時、そんなこと真顔で信じる人はそう多くは無いでしょう。
表象主義では「知能」は実現できない・・・同じ思いの技術者は、かなり居たように思います。

しかし、当時にも希望はありました。私のこの欲求不満に一筋の明るい光を投げかけてくれたのは、「人工生命(ALife)」というアプローチでした。別の言葉では、「創発(emergence)」とも呼ばれ、マルチエージェント等で構成された協調競合計算や、遺伝アルゴリズムなどに代表される進化型計算、そして、ニューラルネットワークなどを主な手段とした方法論だったのです。
まだフレームワークなどなかった時代ですから、専門書や論文を頼りに、理論を勉強し、全部自力で実装する必要がありました。計算機の性能も、今とは比べ物にならないくらい貧弱だったんですよ。

そして時は流れて、今のAIブームは、まさに前述したニューラルネットワークの技術革新(多層化~DeepLearning)によってもたらされたのですが、昔のブームと違い、次々と実用的な応用が実現しています。これは本物です。
しかも、GPU(Graphics Processing Unit)を活用した並列計算が手軽に利用できるなど、計算機の性能が飛躍的に高まっており、個人の経済力でもAIの研究ができる時代になっているのです。

良かった良かった、めでたしめでたし・・・そう締めくくりたいところではありますが・・・実は、そうは行きません。
なぜならば、今のAIをもってしても、前述した「人の意識とは何か?」という好奇心を満たしてくれるものではないからです。

簡単に言うと、ニューラルネットワークは、入力(x)と出力(y)を対応付ける関数 f(x) を、大量のデータの中から自動的に学習する装置に過ぎません。いわゆる「機械学習」装置なのです。
これは、脳の重要な機能の一部ではありますが、「意識とは何か?」と言う問いへの答えとは程遠いものなのです。
それでも技術が進歩すれば・・・と思いたいところなのではありますが、ここで新たな影と言うか話題を投げかけるものが登場します。

それは、著名な理論物理学者であるロジャー・ペンローズらが主張する「量子脳理論」です。この理論には幾つかのバリエーションがあって、中には、「トンデモ」の香りがするものも含まれますが、ペンローズの主張は、まっとうな香りがします。 それによると、「意識」という現象は、脳細胞の微細なレベルで生じる量子論的な効果があって発露すると言うもので、そうだとすると、ソフトウエア的な手段で意識を実現することは不可能だということになります。
例えば、ソフトウエアによって「炎」のシミュレーションを行うことは出来ますが、実際に「熱」や「光」を出すことは出来ません。厳密に言えば、炎並みに発熱し発光するデバイスを取り付ければ可能になりますが、それってソフトウエアで実現しているわけではありませんよね。

かくして、人工知能、人工生命、量子脳理論と・・・話題は「IT」とか「技術」などの枠を超え大きく広がってしまいましたが、次回からはもっと地道な話題が続くものと思います。


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